久保田卓也『大人のための私服の教科書』

大人のための私服の教科書

大人のための私服の教科書

「K値」という概念が面白い。
「K」は「カッチリ」の略であり、1〜10で表される。リーマンのビジネススーツはK値が10だし、穴だらけのジーンズのK値は1〜2である。まあ極めて感覚的な指標なのだが、本書の主張は、私服は全体のK値を6〜7の範囲内にコントロールすればOK、ということである。
ここでのポイントは、個別のアイテムだけでなく、それらを平均、というか総合した全身でのK値をコントロールしていくということだ。例えばリーマンのスーツは10でも、ネクタイを外すとK値が下がり、シャツのボタンを開けても下がる。ざっくりした素材に変えても下がる。下がり過ぎたと思えば、今度はポケットチーフを胸元に入れてK値を上げる。さらに言うと、顔や髪型や体型でもK値は変わり、おやじは体型もゆるみ顔も丸くなってくるので、若者よりもK値が下がってくるとのこと。だから若いときと同じ格好をしているとK値が下がり過ぎてダサくなるから、意図的にK値を上げていく必要があるそうだ。
ひとつひとつのK値は覚えていられないが、アイテムの入れ替えで、顔や体型を含めた全体としてのK値をコントロールしていくこと、そして(若者とは言えなくなってきた今)これまで自分が考えていたよりも心持ちK値を上げていくこと。このあたりは覚えておいて損はないだろう。