山梨広一『シンプルな戦略』

シンプルな戦略: 戦い方のレベルを上げる実践アプローチ

シンプルな戦略: 戦い方のレベルを上げる実践アプローチ

効果的な戦略とは、3つの基本要件を満たしている戦略である。
すなわち、

  • 顧客にとって、うれしいことなのかどうか
  • それは他の会社とは違うのか
  • 自社は儲かるのか

要は、顧客に喜ばれて競争に勝てて儲かる戦略……当たり前である。しかしながら、この3つを全て満たせる戦略というのは少ないと著者は言う。私もその通りだと思う。ひとつも満たしていないものは戦略と呼べないから除外するとして、3つの基本要件のうち1つか2つしか満たせない戦略が大半ではないだろうか。
戦略の基本要件を踏まえ、著者は、経営戦略のレベルを一段・二段向上させるための視点として「シンプルであること」を説く。書名にもなっている通り、これが本書の要諦である。誰しもが一瞬で理解し、覚えられる、そんなシンプルな戦略こそが優れた戦略であると。そして、基本的な戦略構築のステップを整理した上で、戦略をシンプルに磨き込むためのポイントをステップごとにまとめていく。

  • 戦略目標の設定
  • 境界条件の再定義
  • 環境分析と洞察
  • 課題の抽出
  • 戦略的方向性の創出
  • まとめ上げ

戦略コンサルタントらしい、味も素っ気もない文章だが、本書の文章自体がシンプルに磨き込まれていて、読みやすい。良い本だと思います。