ノバク・ジョコビッチ『ジョコビッチの生まれ変わる食事』

ジョコビッチの生まれ変わる食事

ジョコビッチの生まれ変わる食事

テニスのトッププレーヤーであるノバク・ジョコビッチが書いた本なのだが、ジョコビッチは元々、体力面での深刻な問題を抱えていた。どれだけ慎重に調整し、ストイックに鍛錬しても、大一番で痙攣や体調不良に見舞われる。しかしその原因は努力不足でも調整不足でも気合不足でもなく、食物のせいだったことがわかり、現在は食生活を見直し、長年崩せなかったフェデラーとナダルの牙城を崩して世界ランキング一位になったそうだ。本書では、ジョコビッチが食生活を見直すきっかけになったエピソードや、食生活の見直しのポイントが書かれている。

本書の内容は非常に興味深く、内容も示唆的なのだが、ポイントは2つに整理できる。ひとつは遅延型食物アレルギー(遅延型フードアレルギー)、もうひとつはグルテンである。

まず最初のポイントである遅延型食物アレルギー(遅延型フードアレルギー)だが、これは日常的な用語で、いわゆる「不耐症」と呼ばれるものに近い。そばアレルギーのような、食べてすぐ命に関わる深刻なアレルギー症状を出す訳ではない。しかし6時間〜24時間程度かけて体内でじわっと炎症を起こし、体調不良や集中力の低下を引き起こす。これは乳糖不耐症のように、日本人の何割かが体質的に元々あまり合わなかったり加齢と共に対応力が低下するという類のものだけでなく、好きで何度も食べるうちに抗体ができて、その抗体(IgG抗体)が体に悪さをするというものもあるそうだ。色々なものをバランスよく食べなさいという昔の教えはけっこう正しくて、同じものばかりを食べていると、本来は栄養的に優れている食物であっても、体に良くない影響を及ぼす。

もうひとつのポイントがグルテンである。グルテンというのは小麦や大麦に含まれるたんぱく質の一種だが、これは上記の遅延型フードアレルギーの原因になりがちであるのに加えて、グルテンというのは血糖値を急激に上昇させやすく、それに対応してインシュリンを急激に分泌させ、血液中の糖を脂肪として溜め込みやすくなるそうだ。ここら辺の話は最近流行りの「糖質制限ダイエット」の理論的根拠にもなっている。しかし糖質制限そのものが辛くても、せめて血糖値を急激に上昇させるグルテンの摂取を控えることで太りづらくしましょうというので、最近はこの「グルテンフリーダイエット」というのも注目されているそうだ。

なおジョコビッチが自身の遅延型フードアレルギーの状況を調査したところ、小麦に強度、乳製品とトマトに中程度のアレルギーが認められるという、ピザ屋の息子としては非常にショッキングな結果がもたらされたそうだが、最近ジョコビッチの家族はグルテンフリーのレストランも出したそうだ。

余談

私も自分自身の遅延型フードアレルギーの状況を調べたいのだが、日本では数品目レベルの簡単な血液検査は多くの病院でやってくれるようだが、なかなか網羅的な検査をしてくれるところは少ないようだ。色々とネットで調べたところ、ここなんかは割にしっかりしてそうなのと、96品目の食べ物について検査してくれるというので、仕事が落ち着いたタイミングで検査してもらおうかなと思っている。www.uwabu.com