
等級制度の教科書―働く人と組織の価値観に柔軟に対応するために <教科書シリーズ>
- 作者: 堀田達也
- 出版社/メーカー: 労務行政
- 発売日: 2010/08/03
- メディア: 単行本
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わたしは今、リスク管理や経営管理のプロジェクトをやることが多く、人事コンサルタントとしてはほぼ廃業状態なのだが、人事コンサルタントを標榜していた頃は、この等級制度・評価制度・報酬制度のどれが一番重要かという話をよく同僚としていた。どれが重要も何も、この3つが組み合わさってコア人事制度を形成するので全部重要としか言いようがないのだが、それでもなお、ということで色々と議論してしまうのである。そこで大体落ち着くのは、人事マネジメントの素人はわかりやすいお金に着目して「報酬制度が重要だ(やっぱりお金が重要でしょ!)」と主張する。人事マネジメントをかじった人や関心を持っている人は「評価制度が重要だ」と主張する。そして人事マネジメントにそれなりに習熟した人は「等級制度が重要だ」と主張する……というものだ。
今振り返っても、やはり等級制度が重要だと思う。等級制度は単に役職を決めているだけではない。等級制度とは一言で書けば会社内の階層や序列を定義する仕組みである。各階層を能力の差・役割の差・ジョブサイズの差などに基づいて定義し、階層間の差を明確化し、階層間を移動するルールを決める(だから昇格制度などと呼ばれる昇降格ルールも広義には等級制度のひとつに含まれる)。この等級制度がスタートとしてあり、各等級で求められるパフォーマンスを発揮しているかを評価する評価制度や、評価に応じた適切な報酬が支払われているかを定義する報酬制度がある。
繰り返す、等級制度がスタートであり、骨格なのである。
等級制度については、「資格制度」「職能資格制度」「役割制度」「役割等級制度」などなど様々な呼称で本が出ているし、人事制度全般について書いた本でも当然解説されているが、本書が一番わかりやすい気がする。おすすめ。