クロサワコウタロウ『珍夜特急 2nd season 5 中央アメリカ・エクアドル』

珍夜特急 2nd season 5―中央アメリカ・エクアドル―

珍夜特急 2nd season 5―中央アメリカ・エクアドル―

ユーラシア大陸(出発はインド)を日本から持ち込んだバイクで横断した作者が、今度はアメリカ大陸を南北に縦断する紀行シリーズ。

中米から南米にかけて旅が「スペイン語一色」になることを考え、ノッチ・ベティーナ・ラルフの3人のドイツ人と、ニカラグアでの1週間の語学留学を行っている。こんなに行き当たりばったりで、語学留学って可能なんだな。それ自体が非常に面白かった。なお著者はこの語学留学のホームステイ先の少女との出会いが特に心に残っているようだが、残念ながら読者にはあまり伝わって来なかったなあ。

というかこの巻あたりから、残りの所持金がかなりシリアスな状態になっており、行動ルートや意思決定にも大きな影響を及ぼすことになる。当然ながら安全策を取りたい旅の初心者のベティーナと、少しでもコストを削減したい著者の間で、何度も言い争いが続く。はっきり言って著者が採用しようとした案はリスクとコストが度外視された愚の骨頂な訳だが(著者も途中でそれに気づいて結局ベティーナ案が採用される)、こういう言い争いは、1週間やそこらの一人旅や、ツアー旅行、「沈没(目的なく気に入った街に何ヶ月も滞在すること)」ありきのバックパッカー旅行では発生しない。リアルだなーと思った。