奥泉光『ビビビ・ビ・バップ』

ビビビ・ビ・バップ

ビビビ・ビ・バップ

SFとジャズの融合……と聞いただけで、かの傑作アニメ『カウボーイ・ビバップ』を思い出して即購入。結論としては「まあまあ」という印象。カウボーイ・ビバップの方が個人的には面白かったのだが、こっちの方が好きな人も多いだろう。

なお奥泉光は、文学理論や文体に強いこだわりを持っていることで知られ、本作でも冒頭から『吾輩は猫である』をモチーフに色々やっている。それはまだ良いのだが、文中の所々で、数ページから十ページ程度に一回は「そんなこんなで、フォギー(主人公の相性です)は○○なのでした」といった「です・ます調」の気持ち悪い俯瞰的文章が出て来るので、その度に作品世界に埋没していたわたしは無理やり現実世界に引き戻されてしまう。文体に強いこだわりを持つ作者のことだから、これも狙いなのだろうが、わたしにとってはこの狙いは端的に「不要」だなーと思った。