田村耕太郎『頭に来てもアホとは戦うな!』

頭に来てもアホとは戦うな!

頭に来てもアホとは戦うな!

刺激的なタイトルだが、要は時間も体力も集中力もほとんど全てのリソースは有限であるというのが本書の前提にある。すなわち、その限られたリソースは、自分がより良い人生を歩むために使われるべきであるのだから、多少気に入らないことがあったり気に入らない奴がいたり自分に突っかかってくる奴がいたりしても、そんなのに関わるとかえって損するじゃないかという主張である。わたしはその主張に全面的に同意するのだが、わたしもウェットな人間なので、なかなかそう上手くドライな行動を一貫することができない。で、結局わたしは損しているのである。そんな悩みがあったので本書を手に取ったのだが、言っていることは結局、先ほど書いたことに尽きる。その意味では同じ内容が繰り返されているだけの本であり、値段分の価値を感じない人も多いかもしれない。

一点だけ個人的に凄く面白かったのは、この人自身、まさにわたしと同じくウェットな人間で、アホとしつこくやりあって失敗を何度もしており、その失敗談が赤裸々に語られている点である。この人は大所高所から理想論を言っているわけでも、聖人君子でもない。わたしと同じく何度も何度も失敗して、この境地に辿り着き、乗り越えたのだ。今、インターネットで調べたら評判が結構悪いのだが、この本の赤裸々な自己開陳自体は評価できると思う。