村上春樹『騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編』

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

村上春樹の最新長編。かなりの長編なのだが、一気に読んでしまった。

以降ネタバレ(核心というほどではないにせよ)。

この『騎士団長殺し』という作品は、昨日も書いたが、物語の仕掛けというか構造がこれまでの作品とよく似ているように思う。例えば、自分に都合の良いガールフレンドが出てくることや、得体の知れない存在が出てくることや、地下に潜って得体の知れない世界に行くこと。雨田の息子は何となく「鼠」や灰田を彷彿とさせる。しかし、では免色捗は一体どうなのかと問われると、あまりぴったり来るものがいない。現実離れした優雅な暮らしはギャツビーを思い出すが、彼はこれまでのどの登場人物とも違う複雑な内面を持っている。ある部分では、極めて禍々しいとさえ言えるだろう。しかし主人公に対して敵対しているかと言うと、そういうわけでもない。そして傍目には全てを手に入れているようにすら見える免色さんは、主人公の自由さを羨んでいる。何と言っても彼が圧倒的に気になる人物だな。