佐藤優『十五の夏(下)』

十五の夏 下 (幻冬舎単行本)

十五の夏 下 (幻冬舎単行本)

ごく中流の(しかし教育投資を惜しまない)家庭に生まれた佐藤優が、高校1年生の夏に、東欧からロシアへの一人旅をする……というアウトライン、その下巻。

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スイス、チェコスロバキア、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ソ連と単独で旅をする。しかもその大半が共産圏、社会主義国である。わたしは大変な衝撃を受けたし、率直に言って嫉妬もした。そんなことをする(できる)15歳がいるのかと。しかも今から40年以上も前、わたしより20歳近く年上の人間である。

多くの人が、15歳で社会主義国を見て回る経験は、一生の財産になるよと佐藤優に言う。そして実際、佐藤優はロシア外交官になるのである(本書によれば、佐藤優は元々、中学校の英語教師になって離島で教えたいと思っていたようだ)。

実に真っ直ぐな、素晴らしい本である。仮に自分の子供に国際感覚や国際志向を身につけてほしいのであれば、親は英語の勉強の前にやらせることがある。『深夜特急』や『十五の夏』を買い与えることである。

大推薦。