樺沢紫苑『いい緊張は能力を2倍にする』

いい緊張は能力を2倍にする

いい緊張は能力を2倍にする

緊張し過ぎるとパフォーマンスは落ちるが、緊張しなさ過ぎてもパフォーマンスは落ちる。だから緊張のメカニズムをきちんと理解した上で、緊張を適度なレベルに保つことが必要だ、というのが著者の主張である。

緊張と能力の関係に絞って1冊を書いているので、なかなか読み応えがある。その中で、わたしが個人的に気に入った箇所のみ、以下で簡単に要約しておく。

まず、過緊張を呼び起こす原因は以下3点に集約される。

  1. 交感神経が優位
  2. セロトニンが低い
  3. ノルアドレナリンが高い

1つ目。交感神経・副交感神経に影響を与える要素は血圧、心拍数、体温、呼吸数、筋緊張の5つであり、これらが高いほど交感神経が優位になり、低いほど副交感神経が優位になる。この内、呼吸数のみ自分でコントロールできる。だから深呼吸だの瞑想だのヨガだのマインドフルネスだの色々あるが、これらは全て呼吸を深く大きくゆっくりとしたものにするものだと思えば、全て効果がある。

2つ目。セロトニンを上げる最も効果的なものは、午前中に日光を浴びること。夕方以降はセロトニンを素にメラトニンが作られる。次は、リズム運動。リズム運動は「英会話のリスニングをしながら」といった「ながら運動」ではなく、何も考えず規則的な運動に身を任せるのが良い。

3つ目。緊張の4条件「衆人環視」「自分をよく見せたいという気持ちが働いている」「勝負事。白黒がはっきりとした結果が出る」「人生を左右するような重要なイベント」を意識してノルアドレナリンの分泌をコントロールする。プレゼン時においては、事前の練習を何度も何度もしておくこと。緊張してプレゼンが上手く行かないという人ほど事前にシミュレーションをしていない。10回も通しでシミュレーションをしておけば、緊張はかなり緩和される。