小川一水『天冥の標Ⅸ ヒトであるヒトとないヒトと PART1』

天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫)

天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫)

小川一水が10年がかりで「全部盛り」で書き切った全10巻の壮大な長編SFシリーズ、その第Ⅸ巻、の、本書はPART1。

第Ⅰ巻ですんごい風呂敷を広げた後、第Ⅱ巻では「始まり」に戻り、そこから丁寧に丁寧に過去を積み上げ、ようやっと第Ⅰ巻の続きを読めると思ったら実は第Ⅰ巻を別の登場人物の視点から語り直したりして……と、まあ随分とやきもきさせてくれたわけだが、ここに至り、物語は結末に向けて動き始めたと言って良いだろう。物凄い量の伏線があり、物語があり、感情があり、それがうねりとなって一つの流れとなる。

まだまだ結末まで長いのだが、早くもカタルシスが……!