岸野道子『心理的安全なチームって、どうやってつくるの?』

昨日・一昨日と「チーム」をテーマとした本を読んだが、これも同じである。チームパフォーマンスに「心理的安全性」が重要だという示唆自体、Googleの手柄であり、本書もその研究成果を活用しながら持論を展開しているという構造で間違いはないだろう。

ただ、心理的安全性という言葉ばかりがクローズアップされ、正直、Googleの書いていた言葉から受けている印象とは違う主張が為されているものもけっこう多いと思う。例えば、心理的安全性を「ストレスなく働ける職場環境」と書いてしまうと、それ自体は間違いではないものの、本質を捉え残っていると思う。経営学や心理学ではよく「コンフォートゾーン」「ストレッチゾーン」「パニックゾーン」という言い方をするが、人は過度なプレッシャーやストレスに晒されると十分なパフォーマンスを出すことができないが、一方で低すぎる難易度の仕事やプレッシャーの低すぎる仕事をしても成長できない。プレッシャーの程度やチャレンジの程度が適度であれば、人はより成長するという話だ。しかし近年の「心理的安全性」は、とにかく従業員に優しくしましょうという話に聞こえる。

本書は、心理的安全性が高いこと自体が目的ではなく、チャレンジをしていくことが重要だという意味合いのことを書いていて、わたしは賛同した。

余談

「心理的安全なチーム」って日本語が気持ち悪いなあ。学校文法を持ち出して詳しく説明する気はないが、適切な書き方は「心理的安全性の高いチーム」だろう。Kindle unlimitedだから手に取ったが、有料だったら絶対に買わないと思う。良いことを書いているのに勿体ない。