越川慎司『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』

AI分析でわかった トップ5%社員の習慣

AI分析でわかった トップ5%社員の習慣

  • 作者:越川 慎司
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
18,000名のビジネスパーソンを対象に、デスクに定点カメラを設置したり、ICレコーダーやセンサーを装着してもらったり、クラウドサービスや対面ヒアリングを通じて行動や発言を記録したり、個人を特定しない形でメールの内容を分析したり、チャットやオンライン会議などの利用履歴を集めたりして、これらのデータを分析して、トップ5%の社員と95%のそれ以外の社員との違いを抽出したのが本書である。

できるコンサルタントや成功した経営者の持論ではなく、あくまでデータ分析に基づく「優秀な人」の行動特性の抽出というのがポイントである。

ピープルアナリティクスと書けば、わかる人にはわかるだろうか。

内容を見ると、わたしとしては結構「なるほど」と思うところが多かった。

メールを15分以内に返信する、メモを取る、目的ドリブン、アウトプット経験豊富、完璧を目指さない、再現性を大切にする、フットワークが軽い――どれも納得感がある。

逆に言うと、あまり驚きはなかった。

要するに、優秀な人はやるべきことをきちんとやっているのだろう。

なお、本書ではWindowsやMS Office製品のショートカットキーについても触れられていたため、わたしなりの考え方を書いておきたい。

実はわたしは、コンサルタント経験は長いがショートカットキーをあまり重視しておらず、よくあるライフハック的な時短術テクニック自体をあまり使っていない。わたしの場合、仕事のボトルネックは手ではなくて頭だと思う。というか手ではなく頭がボトルネックになる(すなわち頭の生産性を上げれば仕事の生産性自体が上がる)働き方を志向している。パワポやエクセルの見栄えは劣後(こだわるが、最後にこだわる)で、何のために資料を作るか、そのためにどんなパワポやエクセルを作るべきかを、先にしっかり考えることを重視しているのである。要するに「作業に埋没しない」ということだ。

「生産性」の定義にもよるが、これを理解しない人がショートカットキーだけ身につけても生産性は上がらない。そもそものアウトプット品質の低い人間が時短術だけを身につけたところで、短い時間で低品質のアウトプットを作れるようになるだけだからだ。

しかし本書を読んで、逆に言うと、仕事術が身についた人間が時短術を身につけるのはアリだと思うようにもなった。少し調べてみようかな。