鈴木祐『ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45』

集中力については『最高の体調』でも書いていたが、この人は毎度、非常に興味深い情報を共有してくれるなあ。

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例えば、イフゼンプランニングというテクニックがあり、それは「△△時になったら◇◇する」という風にif-thenの形で目標設定をすると目標と現実の距離が近くなって効果が高まるというものなのだが、本書ではサラッと、「xxxは△△時に☆☆で◇◇するか?」という形式だと強い効果があると書いてくれている。

ポイントは3つで、まずxxxに「鈴木太郎」「次郎」「ヨシ」などと自分の名前やニックネームを書いている点だ。

次に時や場所を明確化している点だ。イフゼンプランニングはその性質上「時」を必ず書くため、併せて「場所」も具体化すると良いだろう。

最後に、宣言文(いわゆる普通の文章)ではなく質問文にしている点である。

これを読んでイメージした時、わたしはかなりドキッとした。こう自分に問いかけられると、サボったりすることに大変な葛藤を覚えるのである。

そう考えると、個人的には、本書の後半で書かれていた「自分を再定義することでモチベを上げる」というテクニックと組み合わせれば、更に効果が高まりそうな気がした。これは、清掃員の仕事品質が低いという問題を抱えた病院で、病院から「単なる清掃員」ではなく「治療プロセスの一翼を担った病院のアンバサダー」と清掃の仕事を再定義したことで非常にモチベや仕事品質が劇的に高まったという事例から得たテクニックとのこと。これは無関係な言葉で定義しても意味がなく、あくまで本人の役割や性質に違う側面から光を当てて上げることで効果を発揮するそうだが、わたしが着目したのは「あなたは○○な人間だ」と訴えかける効能だ。

具体的に書こう。

ノーマルな目標設定「毎日ランニングをする」
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イフゼンプランニングで立てた目標設定「19時になったらランニングをする」
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本書で挙げられたより効果の高い目標設定「鈴木太郎は19時にスポーツクラブでランニングをするか?」
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わたしが効果的ではないかと感じた目標設定「鈴木太郎は19時にスポーツクラブでランニングをする人間か?」

つまりこうだ。単なる質問文ではなく、お前はどんな人間なんだ? 予め目標を簡単になかったことにするのか? 努力をしない人間なのか? と内面に訴えかける質問文にするのである。これで、より「ドキッとする」というか、目標をないがしろにすることに抵抗感・罪悪感のようなものが生じるのではないかと感じた。わたしの完全な感覚だけどね。

他に面白いなと思った最新の研究結果としては、儀式、いわゆるルーティンには、儀式を信じることそのものによる効果があることが証明されている点かな。食事をする際に、食べ物を左右対称に並べてフォークやスプーンで3回押してから食べるといった、およそダイエットに効果のないような儀式でも、目の前のことに意識を向けるという点では効果的なのか、ダイエットに効果があったりしたそうだ。

あと、昔からよく「意志力は減る」と言われるが、これは嘘ではないかという研究結果が多数出ているという話も興味深かった。わたしの直観というか体感としては、意志力は減るのだが、この辺は、脳を使っているときに糖分を大量に消費しているわけではない≒脳の疲れは糖分を取ったから回復するものではない、というほぼ定説化した研究結果があると本書に書かれていた件とも絡んできそう。

具体的に書くと、例えば疲れているときにケーキなど甘いものを食べたら疲れていた脳が回復して云々というエピソードは、多くの人が一度ぐらいは感じたことがあると思う。けどこれは、脳の疲労が糖分で回復したわけではなく、単に美味しいものを食べて気分転換できてヤル気が出ただけらしい。確かに、1日働いてグデーッとなってても、今日中に提出すべき案件を忘れてたことに気づいたら、一気に冷や汗が出て眠気も飛んで集中モードで仕事を片付けるでしょうと言われたら、「さもありなん」という気もする。

脳の働きというものは興味深いなあ。