佐々木敦『「批評」とは何か? 批評家養成ギブス』

文章がダラダラと書き連ねてあって読みづらい。最近は忙しいので、この手の「内容の割に文章が長い本」を全体的に受け付けなくなっている。本書のように読み手のハードルを下げようと会話調・講義調でグダグダと書かれた本もそうだし、海外のビジネス書のように事例が延々と続くものも時間の無駄だ。

本書をざっくりと読みながら考えていたのは、本書が「音楽批評」「映画批評」とメディアごとに章が分けられていた点だ。音楽はまあ別物だとして、映画・小説・漫画の批評は何が違うのか。著者は「ジャンル批評」という言い方をしていたが、要するに作品のテーマ性やストーリー性を深掘って批評するのであれば、メディアが何でも構わないはずだ。映画と小説と漫画で批評のあり方が異なる、メディアごとに批評ジャンルが異なるということであれば、映画であればカメラワークや色調、小説であれば文体、漫画であればコマ割りやペンタッチ・トーンといった、メディアごとの特性にもっと批評の目を向けるべきだが、現状そうはなっていないように思う。

そうなると、ジャンル批評というのは、フィクション批評とノンフィクション批評とか、ギャグ・コメディ批評、ラブストーリー批評、アクション批評といった区分の方がしっくり来る。

ジャンルねえ。