これは石原莞爾の主著ということになるが、講話が元になっているため、当時の空気感なども感じられてなかなかに興味深い。
しかし石原莞爾の思想は、この時代の日本が置かれた切迫感・西欧に対する劣等感・帝国主義などがベースになっており、人権意識も今とは全く違う、あの時代だからこそ生まれたものなのだ。そもそも、この世界最終戦争論は「来るべき最終戦争によって世界は統一され戦争がなくなる、その戦争は日本を中心とする東洋とアメリカを中心とする西洋の決戦である」という相当に独特な思想がベースになっており、さらに法華経・日蓮信仰とも結びついているそうだ。この思想を本気で信じていたならば、満州事変を先導して中国を侵略することや、韓国を併合することについても、彼らの価値観では特に悪だとは思っていなかったのだろう。大事の前の小事というかね。