鈴木祐『新装版 パレオダイエットの教科書』

学術論文を読むのが趣味で、しかも学術論文で得た知識を自分自身で試して健康になり、著作にも「経験談」ではなく学術論文のエビデンスをわかりやすく引用して紹介してくれるためファンがついて確固たる地位を築き、様々ななヒット作を出しているライターの出世作。

パレオダイエットという用語は昔からあったものの、一般に広めたのは紛れもなく著者の功績だと思う。

パレオダイエットというのは、要するに旧石器時代(厳密には違うがわかりやすいイメージで言うと日本の縄文時代)のような狩猟採集生活で行われていた食習慣を取り戻すことで健康になろうというものだ。具体的には、旧石器時代でも日常的に簡単に入手できたであろう魚介類・鳥類・小動物・昆虫・卵・野菜・キノコなどの菌類・根菜・ナッツ類を主食として、逆に穀物・豆類・乳製品・芋類・食塩・砂糖・加工油などを極力避けていこうというものだ。人間の生活はこの数千年で(この数百年・数十年でも)劇的に変化しているが、人間の遺伝的な性質は、1万年やそこらでは変わっていないから、農耕や牧畜が始まる前の原始的な食生活が人間に最もフィットした食生活である、という考え方である。

そう言われるとそんな気もするし、実際このダイエット法は他のダイエット法と比べても優れていると研究結果が示しているそうだ。

ただ著者は、パレオダイエット以外にも様々な知見を得ているため、パレオダイエットだけをやっているわけではなく、日々改善させている。例えばパレオダイエットでは避けているさつまいもなんかは日常的に食べている。