鹿野正顕『犬にウケる飼い方』

大学研究やドッグトレーナーなど、経歴的には犬の飼い方についての当代随一のプロフェッショナルという感じがする。

何となく興味を持って買ったのだが、まず、犬は人に上下関係を求めていないという研究結果が凄く目からウロコ。犬は狼の近縁種で、犬は狼と同じく群れ社会だから互いの序列づけをして云々という話をよく聞く。しかし実際のところ犬は「自分より強く威厳のある人に従う」わけではなく、単に「飼い主との間に絶対的安心感を抱く」からで、「人と犬の関係は母子関係に似ている」と言えるそうだ。

それに犬は人間の知能の3〜4歳程度と言われるそうだが、人間と違って因果関係などを細かく結びつけたり、また推定したりすることはほぼできない。だから粗相をして怒られても、そもそも室内で糞尿をするのが悪いことであるという発想がないし、それを理解することもできない。だから粗相をして怒られても、隠れて粗相をするという、人間にとっては変だが犬にとっては真っ当な行動矯正がなされてしまう――なるほど、目からウロコだ。