『ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜』@Switch

一言で書けば、敵や素材や錬金術のレシピを集めて武具やアイテムを合成し、敵を倒すRPGということになるのかなー。

何ということもない田舎の島の少女が、錬金術と出会って変わっていくジュヴナイル的な要素もあって、ストーリー的にはけっこう好き。

錬金術という本作の中核となるゲームシステムも、単に作って終わりではなく、どの程度の水準で作ったかによって効果が大きく変わってくるので、同じアイテムを何度も作り直したくなるし、実際作り直す必要に迫られる。この辺のバランスはなかなか秀逸だと思う。

ただし若干、お使いゲー的な感じが強い。正確に言うと、お使いゲーというより、作業ゲーなのかな。

これも突き詰めたら「お使いゲーや作業ゲーじゃないゲームなんてあるのか?」みたいな話になるので、ネタバレしない範囲で設例を出そうかな。

例えば、Aさんから「○○の薬を作りたいからその素材となる△△を森の奥から取ってきてくれ」と言われ、その素材を集めるために森を探索する――というのは、これもお使いっちゃお使いなんだけど、何となくわかるし、ストレスは少ない。

一方、これも例えばの設定だけど、Bさんの家に言ったら、ストーリー上「◇◇の準備をするために1日待て」と言われ、1日どっかで時間を潰して(と言ってもさっさとストーリーを進めたいので自宅に戻って翌朝まで眠って)翌日またBさんの家に行って、そうすると初めて「◇◇の準備ができたぞ」とストーリーが進む――というのは、ストーリー上はリアルかもしれないが若干プレーヤーとしては作業感を強く感じるわけです。寝るために自宅に戻る時間が勿体ないというか。

他にも、これも例えばの設定だけど、近所のCさんから「最近◆◆の噂があるらしいぞ」との情報を入手すると、今度は「街の中心部にいる情報通のDさんに話を聞く」というフラグが立って、いそいそと街の中心部にいるDさんに会いに行くと、◆◆の情報を得て、そうすると「近所のCさんに報告に行く」というフラグが立って、またいそいそとCさんに報告に行くと、今度は「それなら港にいるEさんに話を聞いてみたらどうだ」とCさんに言われ、「港にいるEさんに話を聞く」というフラグが立つ――とまあ、この手のストーリー進行が非常に多い。ただ町中を移動して、聞いてこいと言われたNPCを見つけて話を聞くっつーのは、少なくともわたしにとっては、思いっきり作業感を抱いてしまう。

こういうのは、まあ好みもあるんだけど、わたしはムービーで済ませてほしい。開発コストがないならAボタンを押すだけのテキスト進行でも良いや。

いちいち移動させるのは、ほんと無駄だなと思うわけです。

わたしの言っていること、わかるかなー。

本作は、この手の作業感が多いのがちょっと気になる。

こういうのは、ゲームのボリュームをカサ増しさせる効果があるし、ゲームへの没入感を高める効果もある。

けど正直言うと、近年はゲームのボリューム自体も増えているし、コンテンツビジネスは全て、(ゲーム以外を含む)ユーザーの時間の奪い合いという側面を持つから、あまりこの手の作業感の強いゲームは良くないと思うんだよな。なお、「月額課金の時間を長引かせるために作業を強いる」とか「課金したらそういう時間を減らせるようにして課金させる」ために時間を使わせるってのならまだわかるけど、それは別の観点として、ユーザーの時間を溶かす邪悪なゲームだとわたしは判断してしまう。

コーエーテクモは、作りかけのゲームをフルプライスで売りつけたり、追加のデータセットで何千円も払わせるみたいな、要はユーザーにカネを使わせるのは得意だけど、ユーザーの満足度を最大化するのは苦手な気がするわ。