『トップポイント』2022年10月号

雑誌の紹介

今月から定期購読を開始した雑誌。

簡単に言うと「本の要約雑誌」である。毎月100冊前後のビジネス書の新刊を入手・熟読し、「切り口や内容が新鮮なもの」「新たな知恵やヒントが豊富なもの」など「一読の価値ある新刊書」を厳選して(10冊)紹介するというコンセプトらしい。個人的には書評ではないという点がポイントで、4ページかけてガッツリ要約されているのでなかなか読み応えがある。なんでも購読者の7割が経営者およびマネジメント層とのことで、ビジネス書の中でもマネジメント層が関心を持ちそうな本を中心に選んでいるし、文体やまとめ方も硬派な印象を持った。

補足として、

  • 巻末に「TOPPOINT NOTE」と題して過去の良書の一節を紹介するミニ企画と、「One-Point Review」と題して1パラグラフで6冊の本を紹介するミニ企画がそれぞれ2ページずつある
  • 読者の購読料で運営するビジネスモデルであるため雑誌に広告が入っていない
  • 紹介された本は、送料無料でFAX注文可能(WEBの方が正直ありがたいが……)
  • 追加の費用を払うとバックナンバーも閲覧できる(ひとまず加入してみた)
  • 無料試読セットもある(トップポイントのサイトから申込可能)

www.toppoint.jp

内容の紹介

今月紹介されていた10冊は以下。新刊が8冊で、残り2冊は「Editor's Collection」および「Longseller Collection」と題し、必ずしも新刊にこだわらず紹介しているようだ。

  1. ★ 強権的指導者の時代 民主主義を脅かす世界の新潮流 (日本経済新聞出版)
  2. ★ Slowdown 減速する素晴らしき世界
  3. エコシステム・ディスラプション―業界なき時代の競争戦略 
  4. ★ 「プランB」の教科書(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)
  5. グランゼコールの教科書――フランスのエリートが習得する最高峰の知性
  6. オンライン脳 東北大学の緊急実験からわかった危険な大問題
  7. ストレス脳(新潮新書)
  8. 認知症パンデミック (ちくま新書)
  9. 決定版 マインド・コントロール
  10. 危機からの脱出 I

巻末のOne-Point Reviewで紹介されていた6冊も挙げておこう。

  1. ★ ロシアのウクライナ侵略で問われる日本の覚悟
  2. ★ 傷つきやすいのに刺激を求める人たち
  3. 応援される人 42の言葉 (日本経済新聞出版)
  4. 「捨てる」思考法 結果を出す81の教え
  5. ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために
  6. ★ すべての企業人のためのビジネスと人権入門

自分でも読んでみたいと初期的に評価した本には★をつけてみた。色々と語りたいこともあるのだが、けっこう数も多いため、1冊だけ。

『Slowdown 減速する素晴らしき世界』

この本の紹介文を読みながら思い返していたのは『エクスポネンシャル思考』という本である。

『エクスポネンシャル思考』の内容を一言でまとめると、技術発展に伴って過去と比べて近年は更に物凄いスピードで物事が変化・進化するようになり、その変化・進化のスピードは今後、指数関数的に(エクスポネンシャルに)加速するだろう――というものだ。これはこれで相応の説得力があったのだが、『Slowdown 減速する素晴らしき世界』は全く逆の主張である。技術革新と経済成長は終わりを告げ、人口・経済・イノベーションとあらゆるものが減速し、世界は安定化に向かっている――という主張がデータと共に語られるそうだ。で、これはこれで説得力があるんだよな。何しろ日本が、減速化社会のトップランナーだからである。

これ以上は、この本を実際に読んだら語ることにしたい。

おもくそ下らない話で締めると、ジョジョ第6部の凄さが際立つ……w

余談

「flier」という本の要約サイトがある。

www.flierinc.com

数年前、勤務先が学習支援の一環で「flier」を使わせてくれたのだが、すぐ使わなくなった。当時の感想は、率直に言うと「書評は大量にあるが、数時間で読める程度のライトなビジネス書や自己啓発書が大量に要約されていて、こんなもの要約で読んだところで無意味」というものだ。まあ身銭を切っておらず単にヤル気が出なかっただけかもしれないけどね。その意味では、忙しいトップマネジメント層に対して本格的なビジネス書を中心に要約情報を提供するというアプローチは妥当な気がする。

でも改めて「flier」も使ってみたいなあ。『トップポイント』と比較してみたい。