めいびい『黄昏乙女×アムネジア』全10巻

黄昏乙女×アムネジア コミック 全10巻完結セット (ガンガンコミックスJOKER)

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先日、めいびいが描いたシリアス系の『かつて神だった獣たちへ』とコメディ系の『結婚指輪物語』を読んで、この作者はコメディ系のノリを凄く書き慣れているんじゃないかと思って過去作を確認したところ、やはりコメディ系でなかなか評価も高い本作を見つけ、まとめ買いした次第。
いや、厳密にはコメディ系と簡単にカテゴライズできない作品なのだが、とりあえず続けると、私立中学に通う中学1年の主人公(新谷貞一)は、霊感があるのか、他の人には見えない女学生の幽霊(庚夕子)を見てしまう。夕子は自分がどのように死んで、なぜ幽霊になったのか、そのあたりの記憶をすっぽりとなくしており、ただの美人でスタイルの良い幽霊になっているのだが、貞一は夕子の頼みを受け、夕子の死の真相を調べることにする……というアウトラインである。
私は幽霊を見たことがないため、信じているわけでも、信じていないわけでもない。しかし死んだ人が誰しも幽霊になるのなら、この世はとっくに幽霊で埋め尽くされているはずであり、普通に考えると幽霊になるということは「成仏できないそれなりの理由」があるはずだ。つまり夕子の死の真相を調べるということはそれなりにシリアスな展開が待ち受けているべきであり、作品中でも序盤から随所にそのような示唆がなされている。しかしそうした大きな物語がシリアスである一方で、小さな物語(人間関係や日々の生活)は貞一と夕子がいちゃいちゃしたり、パンチラが頻出したりと、大きな物語のシリアスさとのギャップが随分ある。
このギャップが面白いというか特徴的だなと思う。
めいびいの最新作『結婚指輪物語』も、世界が破滅するか否かという大きな物語と、それを解決するための手段は「重婚」して色んなお姫様といちゃいちゃするというギャップで引き込んでいる。
絵も相当上手いのだが、話の作りも面白い漫画家だと思う。この作品もおすすめ。