佐藤秀峰『Stand by me 描クえもん』1巻

Stand by me 描クえもん 1巻

Stand by me 描クえもん 1巻

未来から来た自分だと名乗るハゲでデブなおっさんが「漫画家を辞めろ。そのまま続けたら自分みたいな腐った親父になっちまうぞ」と忠告する、という冒頭から始まる作品。

漫画家になれば報われると信じて辛い現実を何とか乗り切っている主人公は、いきなり目の前に現れた変なおっさんの言うことなど当然聞き入れたりはしない。しかしこの変なおっさんは、自分しか知らないようなことを言ってのけたり、本当に未来を知っているとしか言いようのない精度で言い当てたりする。そしてそのまま居候するのである。全体的に陰鬱だが、その焦燥感を持ちながらも何とか現実を変えてやろうともがくという構図は、作者の代表作『ブラックジャックによろしく』に通ずるところがある。

なお、主人公の行動によって、おっさんの禿頭に少しだけ毛が生えるなど、未来が変わる様が暗示されている。主人公が、おっさんの意見を聞いたり聞かなかったりしながら現実を変えていき、その変化がおっさんの体に表れる……という感じになるんだろうな。