つくしあきひと『メイドインアビス』6巻

メイドインアビス(6) (バンブーコミックス)

メイドインアビス(6) (バンブーコミックス)

隅々まで探索されつくした世界に唯一残された秘境の大穴・アビスへと挑む冒険ファンタジー……というとワンピースみたいな男のロマンみたいなのを連想するが、本作は全く違う。アビスは横穴ではなく縦穴で、深層に潜ると(なんだかんだの本作の独自設定で)戻ることが極めて困難になる。というか主人公たちは生きて地上に帰ることができるラインを既に超えてしまい、生き残るだけでも厳しい環境の中、もはや進み続けるしかなくなっている。そしてさらに戻ることが困難になるという矛盾。しかし主人公の少女は、深層にいると言われる母親に会いたいという一心で、シリアスにならず前向きに冒険をしている。

それが異様である。

可愛い絵柄と相まって実に異様だ。

といっても可愛いのは主人公たちの原則的な造形だけで、世界はグロテスクそのものだ。また主人公たちに接触してきた登場人物(?)の多くは既に人間としての姿を保つことすらできない怪物に成り果てており、そのまま「成れ果て」と呼ばれている。そして主人公の3人(?)の仲間も、(可愛らしい姿をしているものの)ロボットと、成れ果て(ただし人間に近い格好で思考や言語も問題ない)、そしてかつての同志が飼っていたペット(詳細不明)である。

本作もいよいよ何とも言えない複雑怪奇な世界に突入し、さあどうなる、という感じ。最近アニメ化されたようだが、わたしとしては「よくアニメ化したなー」という感想である。今のところハッピーエンドを迎える感覚は皆無なのだが。