- 作者: 押見修造
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/09/08
- メディア: Kindle版
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凄く綺麗なんだが、思春期の息子(主人公)の頬にブチュッとキスをするなどボディタッチが多く、何となく違和感のある母親。妙に存在感のある母親に対して、(仲が悪いわけでもなく会話もしているのに)妙に存在感のない父親。それを察してか従兄弟の母親は「主人公の母親は過保護だ」と陰口を叩き、従兄弟は無邪気にも主人公に対して軽口の一環として過保護呼ばわりをする。しかし主人公と従兄弟の仲が悪いかと言えば決してそんなことはなく、むしろ毎週末、従兄弟と従兄弟の母親(主人公の母親にとっては義姉)は主人公の家に遊びに来ている。何となく奇妙で違和感のある設定である。
漫画の作り方も特徴的で、いわゆるモノローグが一切ない。また、吹き出しの外にあえて手書きでツッコミじみたコメントをつけたり、追加のセリフをつけたりという手法も一切使われない。静かな画面で、淡々としたストーリー展開。何も問題はないはずなのだが、どこか息苦しさを覚える。これを「穏やか」であるとは形容しないだろう。
読みながらひとつの言葉が頭をよぎった。
不穏。
そう、一言で書けば、この漫画には不穏さが作中に充満しているのである。
まだ「狂っている」とまでは言えない。
しかし、膨らんだ風船に空気が入り続けているような……。
いつ爆発するんだろうと手に汗を握りながら読んでいたが、1巻の終わりで、まず1つ目の爆弾が爆発する。
さて、わたしは今「まず1つ目の」と書いたが、これは意図的である。なぜなら不穏な空気は依然として作中に漂い続けているからである。
続きが凄く気になる。