- 作者: 長田佳奈
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2017/08/17
- メディア: Kindle版
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もうね、めっちゃツボ!
少しだけわたしの個人的な嗜好の話をさせてもらうと、日本のファッションというか生活様式というかを見たときに、もう圧倒的に格好良くて憧れるのは、大正時代から昭和初期、1910年代〜1930年代あたりである。和装と洋装、そしてそれらの折衷が街を行き交い、昔ながらの日本家屋と洋館が並び立つ。オリエンタリズムが格好良いというのでも100%間違っているわけではないが、厳密には西洋近代文明が異国情緒に憧れ取り入れていくのとは、構造が逆なのである。わたしが言いたいのは、ローカルな文化しか知らなかった人々が、新しいものを知り、だんだんと受け入れて広がっていく、その感覚である。そこには、スタイルを選び取る進取の気概があり、前向きなパッションがある。しかも日本人としての琴線を刺激する和装の趣もある。それが大正時代から昭和初期の先端文化である。
その辺は、例えば、わたしが愛蔵・愛読する『日本のファッション』を読めば、よくわかる。
incubator.hatenablog.com
そして本書を読んでも、よくわかる。
本書に溢れているのは、何もノスタルジーだけではない。進取のスタイルがあるのだ。
余談
今、この「スタイルを選び取る進取の気概があり、前向きなパッションがある」という文脈に、最も沿ったものは何だろう?
iPhoneか? たぶん違う気がする。
わたしの知る限りでは、それはコンゴのサップないしサプールである。Wikipediaによれば「一年中気温30度を越す常夏の両コンゴにおいて1950年代から1960年代のパリ紳士の盛装に身を包み、街中を闊歩するスタイル」をサップと呼び、サップを実践する人々をサプールと呼ぶ。シックだの何だのと言った「常識」には囚われず、彼らならではのアフリカンな色彩感覚をスーツスタイルに当てはめた結果、こうなる。