能條純一+半藤一利+永福一成『昭和天皇物語』3〜4巻

昭和天皇物語(3) (ビッグコミックス)

昭和天皇物語(3) (ビッグコミックス)

昭和天皇物語(4) (ビッグコミックス)

昭和天皇物語(4) (ビッグコミックス)

昭和天皇がいかに生まれ、いかに育ったか。

わたしは天皇制について賛成も反対もしないが、天皇や皇室という存在が「恵まれている」「特権階級である」と思ったことはおそらく一度もない。

大変すぎるだろう。

戸籍すらなく、人権もない。好きに生きることもできない。結婚して皇室を出る女性ですら、結婚相手を好きに決めることができない。

誤解なきよう補足すれば、わたしは「眞子様と小室圭は結婚すべきなのに、できなくて可哀想だ」と言っているわけではない。事実を述べているだけである。ちなみにわたしは、小室圭やその家族の醜聞を望ましいことだとは思わない。それはそうだろう、仮に当事者に愛があっても、皇室を利用して自分たちの借金を返そうとする、金銭欲や名誉欲にまみれた人間を好ましいとは思わないだろう。しかし仮にどのような事情があったとしても、結婚というものは自分の意志でするものである。よく「結婚というものは自分の意志だけでは出来ない」と嘯く人間がいるが、それは嘘だ。親や周囲の反対を押し切って結婚すると、結婚式で格好がつかなかったり、育児や金銭のサポートが受けられなかったりと、まあ大変なことは確かである。しかし誰が賛成しようと、あるいは反対しようと、結婚そのものは結婚する当事者2人が役所に書類を提出すれば良いだけなのである。

もっと言おう。普通の人間には、誤った意思決定をする権利があるのである。

天皇や皇室の方々には、それがない。

象徴だからである。

誤った意思決定で身を持ち崩した象徴がいてはならないからである。

不自由だよね。

3巻や4巻では、まさに昭和天皇が結婚相手を決めるという話が色々と出ていて、他人が口を突っ込むわけです。で、他人が決めたお嫁さん候補に対して、昭和天皇がその気になった後、また周囲が色々なことを言い出して破断にしようとする。そのことに昭和天皇は否を唱え、この人と結婚するんだと主張する。そもそも今と違って昔は自由恋愛が少なく、お見合い中心の結婚相手探しだったと聞く。しかし、これが「美談」になってしまうのである。相当に不自由な人生だ。