山本崇一朗『それでも歩は寄せてくる』1巻

それでも歩は寄せてくる(1) (週刊少年マガジンコミックス)

それでも歩は寄せてくる(1) (週刊少年マガジンコミックス)

男女逆転版の『からかい上手の高木さん』だと思えば、ほぼ適切な作品紹介になる。

たった一人しか部員がいない将棋部だか将棋同好会に、歩という男子が入部して、女性部長と延々将棋をする。その中で歩がグイグイ攻めてきて、女性部長がドギマギする、という、ただそれだけの話である。

驚くほど『からかい上手の高木さん』と酷似している。

実は『からかい上手の高木さん』は一大ブームとなり、『イジらないで、長瀞さん』だの『やんちゃギャルの安城さん』だのと、もうタイトルから設定から丸パクリの「おまえらプライドないんかい!」という二番煎じ漫画が幾つも出ているわけだが、山本崇一朗という漫画家の凄いのは、それにめげることなく、それどころか『からかい上手の(元)高木さん』という三番煎じの漫画を生み出してフォロワーの漫画家に描かせていることだ。この10年ぐらい、スピンオフや過去の大作漫画の続編という手法が一般化してきたが、これはスピンオフというような生易しいものではない、絵柄まで「トレースか?」ってぐらい自分に酷似させて、本家本元公認でやらせるのである。

そして今度は男女逆転というネタで四番煎じの漫画を持ってくるという。

この人、商売巧いわ。