山田芳裕『望郷太郎』1巻

望郷太郎(1) (モーニング KC)

望郷太郎(1) (モーニング KC)

  • 作者:山田 芳裕
  • 発売日: 2019/12/23
  • メディア: コミック
主人公は世界的大企業の幹部というか7代目の跡継ぎで、大金持ちで、家族もいて幸せエリートだったが、突如大寒波が襲来して世界は大パニック。

当時主人公はイラクにおり、もはや日本に帰る交通手段も、より南のサウジアラビアに逃げる手段もない。そこで技術的には不安があるものの、金持ちの特権で数百億円をかけて作らせた人工冬眠装置に入り、とりあえず難を逃れようとする。

そこから幾年月。1ヶ月間の冬眠のつもりだったが、眠りから覚めると500年後。妻と息子は人工冬眠に失敗して死亡、世界も完全に「人間不在」の大自然で覆われ、世界は「初期化」されていた。衣服などはまだ使えるものもあるが、電子機器は全滅。真夏は50度を超えていたイラクも、今は雪が降り積もる地域と化していた。家族も財産も会社も何もかもを失った主人公は死のうとするが、中学受験のために父親の家に預けていた長女や、父親の行く末に思いを馳せる。2人は大寒波を乗り切れたのか……? たとえ乗り切れたとしても今は500年後、どうせ生きてはいない。しかし、せめて2人がどうなったのかを確かめてから死にたいと思った主人公は、日本へ行くことを決意する。現状、周囲には人が住んでいる痕跡もなく、人っ子一人見当たらないが、とりあえず北上してカスピ海まで行き、いずれはシベリア鉄道まで行けば人類が生きていて鉄道を営んでいるのではないか……というのがプロローグであろうか。

相変わらず奇想天外。

最高に面白い。