山田鐘人+アベツカサ『葬送のフリーレン』1巻、『ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア』全2巻

『葬送のフリーレン』は、魔王を倒した勇者ご一行の「その後」を描いた作品なのだが、アプローチがちょっと独特というか、種族間の違い、寿命の長さの違いにフォーカスしたものになっている。

勇者と僧侶は人間で、寿命はせいぜい100年ぐらいであろう。戦士はドワーフで、人間よりは長いが……という感じ。一方、本作の主人公である魔法使い(フリーレン)はエルフで、寿命は(作中の時代設定によればおそらく)1000年を優に超えている。このパーティーで旅をした期間は約10年間で、それは人間やドワーフにとっては人生の大きな割合を占める長さなのだが、エルフにとっては「たった10年間」に過ぎない長さなのだ。それでも、パーティーの仲間と同じ感覚を得られないことに寂しさや疎外感のようなものを感じているフリーレンは、各地域でローカルに発展したどうでも良い魔法(例:甘いぶどうを酸っぱいぶどうに変化させる魔法)を趣味的に集めながら、人間のこと(あるいはかつて一緒に冒険した仲間たちのこと)をより深く知ろうとする――と、こういう物語構造である。

たまたまAmazonでリコメンドされたから手に取ったのだが、この「その後」というテーマは個人的にも気になるものであり、凄く惹きつけられた。

続きが気になる。

こちらは、同じ作者(原作者だが)による過去作品。

文明が崩壊し、人類がほぼ絶滅した中、生き残った博士(まだ30代ぐらいかな)は、ロボット少女と一緒に暮らしながら、生き残った人類を探し続ける……という設定といえば設定なのだが、あまり熱心に探しているわけではなく、二人で(人類絶滅後の世界における)日常あるあるをやっている感じ。

設定としてはわりに面白いんだが、ギャグとシリアスの境目はけっこう難しい漫画。