つるまいかだ『メダリスト』1巻

フィギュアスケートは難しい競技だ。プロになるには凄いカネがかかる。幼少期から家族ぐるみでの支援が必要で、しかし選手生命は短い。ピークは下手すれば10代前半から半ば。大学を卒業する頃には、大半のスケーターは、プロになって競技ではなく表現で食っていくか、コーチになるか、タレントになるか、全く違う道に転向するか……そのあたりの選択肢を否応なく選ぶことになる。

前々から気になっていたが、この問題にフォーカスしたのが本作である。

主人公(♂)は幼少期から頑張ってフィギュアスケートに取り組んだが、一流になることはできず、アイススケートに転向して一定の成果を出したけど、今度はペア(女性)ばかり着目されて自分は埋もれてしまった。就職するタイミングで、なかなか次のキャリアが決まらない。そんな中、ある少女に出会う。少女はフィギュアスケートが好きで、でも家族に反対されてこれまでフィギュアスケートを習うこととができなかった。施設管理のおじさんに頼み込んで、こっそりリンクに入れてもらい、独学で練習する日々。主人公はこの少女に才能と不憫さを感じ、スケーターとしてのキャリアを諦める代わり、指導者として彼女を育てようと決意する……というプロローグ。アフタヌーンのサイトを見たら「夢破れた青年」「見放された少女」という表現があって、これがしっくり来る。

わたしは本作のことは全く知らなかったのだが、世間的には既にかなりの注目を浴びているようで、Amazonのレビュースコアも凄いことになっている。

続きが楽しみ。