白樺鹿夜『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』1〜5巻

厳しい寒さの辺境を領地とするため一向に結婚相手が見つからない伯爵と、優秀な結婚時期を逃した女性軍人が、1年間「仮夫婦」として北国でスローライフするという設定の漫画。

作品名や醸し出す雰囲気は完全に「なろう系」だが、別に転生もしないし、魔物も魔法もチートスキルも登場しない。そもそもこの「醸し出す雰囲気」って奴が何なのか考えてみたのだが、スローライフ自体に「なろう感」があるんだよね。従前のファンタジー作品は、その世界観に基づいて多かれ少なかれ乗り越えるべき何かしらの問題があったわけだが、本作の場合、そもそも乗り越えるべき問題がほとんどない。仮夫婦と言っても、わざわざ北国の辺境に来て厳しい自給自足の暮らしを続けているのは、お互い憎からず思っているわけで、つまり「どうせ結婚するんだろ」という予定調和の中で2人に育まれる恋心を暖かく見守るという構図が、正直「なろう系」に似てるんだよね。

あ、批判めいたことを書いたように見えるかもしれないけど、作品自体は悪くないと思う。物語の起伏は全然ないが、それで良い人には面白いと思う。