福浪優子『あかねさす柘榴の都』1〜2巻

柘榴ザクロの都とはグラナダのことである。初耳だったが、グラナダとはスペイン語でザクロのことなのだそうだ。ググってみると、確かにWikipeidaにもそう書いてある。

ja.wikipedia.org

本作は、両親を亡くした14歳の少年(橘夏樹)が、スペイン人の叔母(アルバ)の元に身を寄せるところからスタートする。と言ってもスペインでは「ピソ」と呼ばれるシェアハウスに住む人が多く、夏樹もアルバもピソに住むことになる。ピソやバルに集う様々な人々と、そして学校も始まり友達も出来て、なかなか騒がしい異国生活だなと思う。わたしのような日本のマンションに住む人間には考えられない地域ぐるみの生活である。難しいだろうが、上手く距離感をコントロールできれば、こんな生活も楽しそうだなって思う。

なお、グラナダはスペイン南部の観光都市だが、スペインと言っても歴史的にアラブ文化の影響が色濃く、アラブ文化とキリスト教文化が混在した街である。「アルハンブラ宮殿」をシンボルとした旧市街一帯が世界遺産に認定されているが、わたしは故あってアルハンブラ宮殿というクラシックギターの名曲を何百回も聴いたことがあり、グラナダは勝手に極私的親近感を抱いている街でもある。

この作者は本作が初コミックスらしいが、実にハルタらしい画風だ。描き込み量が多くて鮮烈な背景と、肉感のある人物描写(ムッチリしているという意味ではない、近いけど)、ここまで汗が飛んできて匂いが漂ってくるような空気感。好みだ。