ニルヴァーナ『MTV Unplugged in New York』

今となっては信じられないが、音楽がなくては生きていけない、音楽を聴かなくては自分を保てないような時期が、わたしにも確かにあった。

時々考える。その衝動こそが青春だったのだろうか？

いずれにせよ、そのときは世を徹して、それこそ睡眠時間を削って本を読み、音楽を聴いた……。

その後、本や漫画を貪るように読む趣味だけは残ったが、わたしは長らく音楽を聴かなくなった（聴けなくなった）。

その意味では、本作はわたしの青春を彩った作品のひとつと言えるのかもしれない。

ニルヴァーナの有名どころは一般的には『ネヴァー・マインド』か『イン・ユーテロ』だが、わたしの中では一貫して本作だ。

もちろん世間もこんな格好良いアルバムを見逃すはずもなく、1500件近くのレビューがついて、平均4.8……モンスターアルバムである。

いわゆるオルタナやグランジと呼ばれるジャンルなのだが、このアンプラグドを聴くと、そんなジャンルめいた議論は本当にどうでも良くなる。

久々に聴いても、こう、胸が締め付けられるような……。