『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』

一世を風靡した野島伸司の脚本ドラマ。でも本作は大して一世を風靡していない。けっこう面白かったのに誰も観てないなーと思っていた。もっとも、Wikipediaで確認すると10%後半だから、視聴率はそれほど悪くない。当日は今と違って、20%を超えてナンボの時代だったからだろう。

さて内容だが、親同士が結婚して、高校生役の滝沢秀明と深田恭子が同居することになる。また、内山理名は滝沢秀明に、滝沢秀明は深田恭子に、深田恭子は窪塚洋介に、窪塚洋介は石田ゆり子に片思いする……という片思いの連鎖。そして、親の再婚、いじめ、摂食障害、留年、ネグレクト、死んだ婚約者……何だろう、この情報量多すぎの設定は(笑) まるで、『ママレード・ボーイ』と、『ハチミツとクローバー』と、あと……うん、もう面倒なので、喩えるのやめよう。一言で書くと、「これぞ野島伸司ドラマだ」というところなのだろう。

わたしは元々あまりドラマを観ないのだが、本作は何故か物凄く印象深いドラマで、欠かさず観ていた。先ほど書いたような情報量多すぎの設定に加え、ABBAのSOSが余計にそうさせたのだが、何とも言えない妙な焦燥感が本作にはあったからだと思う。単なる恋愛ドラマではなかった気がする。

もちろん今冷静に俯瞰して視聴すると、色々と気になる点もある。しかし当時感じた何とも言えない焦燥感は、今観てもやはり感じられた。ヒリヒリしたね。そう考えると、もう四半世紀も前のドラマのあれこれにイチャモンをつけるのも野暮というものだろう。それに細かいイチャモンは、ドラマの面白さ全体には大して影響を与えないことが多いってことも学べた。

深田恭子が可愛いという、それ一点だけを取り上げても、このまま消える作品ではないような気がするなあ。

余談

オンとザの間に点が入っていないのは理由がある。ABBAの主題歌「SOS」と頭文字を合わせて、若者の「助けを求めるシグナル」を暗示しているそうだ。