- 作者: 北崎拓
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: コミック
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過去の回想エピソードを入れるのは漫画家としては楽なのだろう。実はこんな設定があったんですと簡単に伏線を張ったり回収したりできるし、漫画家的にも「飽き」を抑えられる。しかし回想は一般的に「ネタ切れ」や「物語の破綻」の兆候で、読み手にとっては危険なサインである。ちょっとした回想ならまだしも、長々と回想が続いたり、何度も回想が挟み込まれるようになると、漫画は途端につまらなくなることが多い。例えば『ONE PIECE』や『はじめの一歩』は読者には大して思い入れのないキャラクターの過去を1ヶ月以上かけて描くこともざらにあるが、『ONE PIECE』は漫画家と読者の思いのズレを如実に表しているし、『はじめの一歩』に至っては一歩vs宮田というクライマックスへの道筋を遅らせるためとしか思えない。最近では『GIANT KILLING』も、主人公(監督)の過去の話が入ってから途端に漫画としての勢いが止まったし、サポーターの過去エピソードに至っては完全な蛇足である。
しかし本作の場合、この過去エピソードは主人公の痣(スティグマ)の極めて重要な秘密が隠されている(と思われる)上、主人公の行く末も暗示しており、過去ピソードが実に効果的である。早く続きが読みたい。