インキュベ日記

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保坂和志『書きあぐねている人のための小説入門』

この本はかなり以前に読んだ気もするのだが、改めて読んでみた。

保坂和志という人は、とにかく素直にモノを考えたりすることが嫌いだしできなくて、何だかんだうだうだと理屈をつけているが、それでいて体系的にまとめるのは嫌いだしできない、という印象がある。

ものすごく面倒臭い人である。

だが読み返すと、個別個別ではなるほどと思うこともある。

 小説というのは本質的に「読む時間」、現在進行系の「読む時間」の中にしかないというのが私の小説観であって、テーマというのは読み終わったあとに便宜的に整理する作品の一側面にすぎない。

言いたいことはわからないでもないんだけど、うーん、何か今ひとつピンと来ない。

トレヴァー・ノートン『世にも奇妙な人体実験の歴史』

高校以来の友人に教えてもらった本。

科学とは何か? 科学的とはどういうことか? これはなかなか深遠な問いである。一貫した法則や再現性があることを科学ないし科学的と呼ぶのかもしれないが、その法則自体はあくまで「今わかる範囲で」ということである。そしてその「今わかる範囲」はこれまでの膨大なトライ・アンド・エラーで築き上げてきたものだ。そして本書は、そのトライ・アンド・エラーの過程を記述したものである。

毒物を薬と信じて飲んで失敗した話とか、寄生虫を囚人の体に敢えて寄生させた話など、なかなかトチ狂ったエピソードが多い。多いというか本書の大半がそうだ。しかし当時はギャグでもテヘペロでもなく、あくまで信念・執念を持った人間の行為である。こうした一見馬鹿げたトライ・アンド・エラーがなければ今の科学はなかったはずだし、そもそも毒と薬は表裏一体で、効果を発揮する量と致死量がかなり際どいラインにある物質もある。そう考えると、最初は「怖いもの見たさ」で面白半分に読んでいたのだが、途中からどんなスタンスで本書を読めば良いのか混乱してしまうかもしれない。

これは中高生に読ませたいなあ。クソ真面目な顔でなく、エピソード単位で授業の最初に配って、キャッキャ言いながら読むぐらいが面白いかも。

らぴ『小説家になりたい人のための教科書』

ちょっとした文章例を使って、物語論、特に構成についての理論やフレームワークを学んでいく本。説明がかなりアッサリしていて1時間もかからず読み終わるが、サラッと読みたい人には逆に良いかもしれない。

個人的には、この手の理論チックなものはもう少し体系的・本格的に読みたいかな。

和山やま『女の園の星』2巻

彗星のように登場……という表現が大袈裟ではないほど、ネットでめちゃくちゃ人気を博している作家、その最新作。

お耽美的なキャラ造形なのだが、話はシュールな風味のある日常ギャグで、そのギャップがもう最高。2巻も凄く面白い。

しかしあれだな、意識的なんだと思うけど、女子高生は中心人物みたいなのをあえて作らなくて、全員モブっぽさがあって、それがまた新しい。あくまでも先生側にフォーカスが当たっている。

堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』30巻、古橋秀之+別天荒人+堀越耕平『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』12巻

堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』30巻

最近のヒロアカは絵がゴチャついて正直かなり見づらい。表現がインフレしているんだよね。前よりもっと凄い描写にしようという意識が強すぎるんじゃないだろうか。

古橋秀之+別天荒人+堀越耕平『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』12巻

これはずっと書いているが、正直ヒロアカ本編よりもスピンオフの本作の方が面白いし巧い。既に最終章で、完結が見えているのだが、もったいないな。でも、古橋秀之+別天荒人のコンビで新しい作品を描いてくれないかな。ここまで巧いなら、ヒロアカのテンプレートを使わなくても絶対イケると思う。

山田果苗『東京城址女子高生』5巻

東京城址女子高生 4 (HARTA COMIX)

東京城址女子高生 4 (HARTA COMIX)

城址とは城跡のことである。東京には城址が結構な数があって、大半は「跡」どころか影も形もなかったりするんだけど、それでもちょっとした石垣や地形や小川なんかで当時の息遣いを感じることが出来たりして。

個人的には、かなり学ぶべきところがあった、のだが、完結。

打ち切りエンドというほどバタバタはしていないけど、個人的にはまだ続けてほしかったかなあ。これ言うと本質的に過ぎてどうしようもないのだが、城址というテーマが地味すぎたのかな。面白いんだけどなあ。

谷川ニコ『海浜秀学院のシロイハル』

わたモテ19巻のあとがきで打ち切りネタがあったので、気になって調べたら本作が出てきた。

電子書籍限定で紙のコミックスは出ていないようなのだが、さすが打ち切りというべきか、「ここ!?」というところで終わっているし、単行本1巻分の分量ないし、話も下ネタに極振りしていて、さすが谷川ニコ先生という感じ。

小学館のサイト(↓)を見ても「静かなる衝撃作」という謎の形容で、なかなかの草。

www.shogakukan.co.jp