野崎まど『なにかのご縁 ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る』

なにかのご縁―ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る (メディアワークス文庫)

なにかのご縁―ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る (メディアワークス文庫)

ラノベやSF界隈で活躍する作家の新シリーズ。主人公(ゆかり、♂)は、何と言うこともないごく普通の大学生なのだが、日本語をしゃべるうさぎと出会う。そのうさぎは「縁」を司る縁結び・縁切りの神様のようなもので、人々の縁を結んだり切ったりするのが生業なのだが、実はゆかりにも縁の結びつき(紐のようなもの)を見る力があるため、まあ色々あって一人と一匹の同居生活が始まる……という感じのプロローグの連作集。

人間ではないが人格のある存在と同居するという物語は「ドラえもん」の例を出すまでもなく日本人にはお馴染みで、もはやテンプレ化されているわけだが、それでも本書はすこし・ふしぎな物語を巧く作ってくれており、素直に楽しめる。というかうっかりすると涙腺が緩む。面白いね。