青野春秋『俺はまだ本気出してないだけ』1巻

俺はまだ本気出してないだけ 1 (IKKI COMICS)

俺はまだ本気出してないだけ 1 (IKKI COMICS)

昨日の足立和律『FOR SEASON』と一緒に買ってみたが、これも良い。主人公は高校生の娘もいる40歳オーバーのおっさんなのだが、プーになってしまった挙げ句、漫画家を目指すとか言ってうだうだして、父親に怒られている。帯に「21世紀のおっさんコメディー界を牽引する大型新人デビュー!」と書いているように、確かにコメディーなのだが、ただそれだけじゃない。

いつからだ?
いつのまに俺は、
こんな「残念な感じに」なっちゃったんだ……?

良い大人なのに「まだ自分は何者でもない」という焦り、これは主人公と同じ40歳になっていなくとも感じられるものだと思う。強い切迫感と共に胸に突き刺さった。傲慢なつもりは毛頭ないが、まだ俺は自分が「残念な感じ」になったとは思わない。それでも、自分が「何年かに一度」の傑出した人間ではないという自覚のある今、この焦りと無縁ではいられない。この焦りがなくなったとき、それは俺が人生に見切りをつけたときだと思う。
しかし昨日の足立和律『FOR SEASON』といい本書といい、月刊IKKIはなかなか良い漫画を出しているね。創刊当初のIKKIは、漫画読みが泣いて喜ぶ豪華なメンツを集めた雑誌だった。しかし月を追うごとに詰まらなくなり、鳴り物入りで始まった漫画の多くが終わっていった(黒田硫黄セクシーボイスアンドロボ』はちゃんと完結させろ!)。俺も購読を中止して、コミックスだけ買うようになって久しい。でも実は『のらみみ』や『ドロヘドロ』のような漫画を生み出しているし、足立和律や青野春秋・青山景・鈴菌カリオといった漫画家もIKKIが世の中に輩出したと言って良いだろう。なかなか悪くない雑誌になってきたのかもしれない。もう1回、雑誌の方もチェックしてみようかな。