米澤穂信『王とサーカス』

王とサーカス

王とサーカス

『さよなら妖精』に続き、太刀洗万智という人物が登場している。『さよなら妖精』では彼女は高校生だったのだが、本書では既に大人になり、新聞記者を経てフリーのジャーナリストとして独立している。そして旅行事情の記事を書くためにネパールを訪れ、今なお謎多き史実である事件に遭遇する……というアウトラインである。

ネパール王族殺害事件 - Wikipedia

これも前作『さよなら妖精』のユーゴスラビア紛争と同様、極めて血生臭い事件であり、また個人の思惑を超えて、民族や国家といった大きなパワーが働いた事件である。つまり一人の人間がどうこうできる類の事件ではない。しかし太刀洗万智は望むと望まざるとに関わらず、深く巻き込まれていく。そして今回も、ヘビーである。

しかし面白い。

このミステリーが凄いとかで第1位になったらしいが、それも頷ける出来だ。