- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/11/10
- メディア: 文庫
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中学生頃から大学・大学院に至るまで、どんな人との出会いがあり、どんな思想との出会いがあったか、それをかなり克明に記している。
特筆すべきは、冒頭に述べたとおり、キリスト教にかかる部分であろう。佐藤優は外務省職員としてインテリジェンスに従事してきたことから、血も涙もないリアリストのように思われているきらいがある。わたしが実際そうだった。顔も怖いし。しかし彼は日本人の1%もいないと言われるキリスト教徒なのである。
母親がクリスチャンのため礼拝などには馴染みがあったが、高校までは厳密な意味でのキリスト教徒ではなかった。大学には「無神論」を研究すべく同志社大学神学部に入学する。しかし無神論よりもフロマートカというチェコの神学者にとことん惹かれ、二千年近いキリスト教神学の豊穣さの前に無神論は何も力を持たなかったとして、洗礼を受けるのである。佐藤優は言う。「十九歳のとき、私は洗礼を受け、それからその信仰が揺らいだことはない」と。
かなり長い本だが、量的のみならず内容的にも読み応えがある。