Marjorie Weinman Sharmat『Nate the Great』

Nate the Great (English Edition)

Nate the Great (English Edition)

多読6冊目。

英語の多読やるぞーと気合十分に始めたは良いが、やはり子供の絵本を読むというのが精神的に耐えられず、5冊消化時点で長らく止まっていた。けどこれはわりに面白いので一応読了。

本の内容だが、何歳だろう、ざっと5〜6歳の子供探偵(ネイト君)が身の回りの事件を解決して回るストーリーである。挿絵付きで明らかに幼児向けなのだが、意外に面白かった。探偵と言ってもコナンみたいな常識外れの探偵ではない。小さな子供が背伸びをしているところがほのぼのするというかニヤニヤするというか。

例えば、主人公の子供探偵は「My name is Nate the Great.」とか「I, Nate the Great, will find a lost picture.」といった言葉遣いをしている。これの正確なニュアンスや文法構造はわたしにはわからないが、挿絵や振る舞いを踏まえたわたしの理解では「俺様の名前は偉大なるネイト様だ。」とか「わたくし、偉大なるネイト様が、失われた絵を見つけてあげよう。」といったニュアンスなんだろうなと思った。ちょっともったいぶった冗長な言い回しである。子供が「よきにはからえ」と言ったりして、殿様や貴族の真似をするみたいな。

それでいて、電話の依頼がなった時に「失われたダイヤモンドや真珠や100万ドルの捜索の依頼かもしれない」などと言い出して、近所の女の子であるAnnieからだったとわかった途端、うん、彼女はダイヤモンドも真珠も100万ドルも持ってないから失いようもないね、と心の中でひとりごちるあたりとか思わず笑ってしまう。

つまり大人の視点では明らかに「ごっこ遊び」なんだけど、子供としては真剣で、かつ実際に事件を解決しているからあながち「ごっこ遊び」と断じることもできない。しかし確実に背伸びをしている。そんな「子供の世界におけるリアル」がしっかりと描写されていると感じた。

もうひとつ例を挙げよう。失われた絵を探す依頼を受けたNateは、Annieの部屋を見聞して、黄色い壁、黄色いベッド、黄色い椅子、黄色い机を見て、こう言ってのける。「I, Nate the Great, was sure of one thing. Annie liked yellow.」と。そらそうだろと。このあたりは幼児が読んでどう思うかはわからないが、大人が読むと、その無邪気さにフフッと笑ってしまう。繰り返すが、子供探偵と言っても推理力はコナンではない。Nate the Greatの推理力はあくまで年齢相応のものである。しかしそこが面白い。人も死なない。

え、シリーズモノだけど多分死なないよね?