手原和憲『夕空のクライフイズム』1〜2巻

夕空のクライフイズム(1) (ビッグコミックス)

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夕空のクライフイズム(2) (ビッグコミックス)

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主人公(高校三年生)はサッカー部員なのだが、ドリブルは好きで地道に練習してそこそこのレベルになっている。しかし秀でているのはドリブルだけで、体力やパス・守備などは平均以下……と、要は選手としては特別な才能を持ってはいない。だからサッカー部でレギュラーに選ばれることもなく、しかも監督はリスクを恐れたギチギチの管理サッカーで……というのがこれまでの話。何と監督は別の高校に引き抜かれてしまい、中等部の監督とその娘(サッカーオタク)が監督とコーチを務めることになる。そこで出て来たヴィジョンが「クライフイズム」。往年のヨハン・クライフを信奉するサッカースタイルで、要は守備を捨てて美しくて楽しいサッカーをやろうということだ。負けないサッカーと言っても全国優勝するチーム以外はどこかで負けるのだから、勝つことぐらい諦めて、どう負けるかを考えるべきである。そしてクライフイズムとは負けてなお鮮烈な印象を残す、美しく散るサッカーなのだ……と、なかなかハッタリは効いている。

なお主人公が所属する高校は県内でもそこそこ地力があるとみなされてはいるものの、トップ高とは大きく開きがあり、かつ型にハマったサッカーをしていたため、これから色々とチームを変革していきましょう……とまあそんな感じのプロローグ。

個人的には、サッカーという競技は野球と違って攻撃と守備が連動しているし、坪井健太郎『サッカー 新しい守備の教科書 優れた戦術は攻撃を無力化させる』を読んだ今となっては、守備を疎かにして攻撃サッカーを実現できるほど甘くないと思うのだが、とりあえず「お話」としては面白いと思って読んでいる。
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