重松清『きよしこ』

きよしこ (新潮文庫)

きよしこ (新潮文庫)

吃音に悩む少年「白石きよし」の、少年時代の始まりから終わりを描いた連作。
重松清自身、少年時代は吃音に悩んだそうで、いつか自分とよく似た少年の物語を書いてみたかったそうだ。「それがほんとうに伝えたいことだったら……伝わるよ、きっと」という一節は、吃音云々に関わらず、誰かに必死に何かを伝えようとする者にとって強い励ましとなる。派手なストーリーはないが、あたたかい、良いお話である。