山本英夫『殺し屋1(イチ)』1巻

殺し屋1 第1巻 (ヤングサンデーコミックス)

殺し屋1 第1巻 (ヤングサンデーコミックス)

『オカマ白書』や『新のぞき屋』で、ギャグを織り交ぜつつ、アブノーマルで変態チックな性癖を掘り下げてきた山本英夫。本作は、新宿の通称「ヤクザマンション」を舞台に繰り広げられる、暴力と痛みに満ちたギャグなしの物語。
ヤクザマンションに住む暴力団の中でも、とびきりの武闘派ヤクザとして知られる「安生組」だが、ある日、安生組の組長と金庫の金が忽然と姿を消す。女と逃げたのではという疑いも出るが、安生組きっての暴力ヤクザにしてマゾの、若頭(カシラ)の垣原は、組長(オヤジ)が組を裏切るはずがないと、全力で組長の行方を追う。しかし実は、組長は既に殺され、金庫の金は持ち逃げされている。そして犯人は、組を破門になったチンピラ5人組である。この5人組は、正体不明の「ジジイ」、謎の殺し屋「イチ」、格闘技もかじっていてマッチョな「昇」、中国人のスケコマシ「龍」、安生組を破門になったヘロイン中毒の「井上」と、どれもこれも一筋縄では行かないキャラクター。しかし最も一筋縄では行かないキャラクターは、断トツで、垣原。コイツはスゲー。
暴力たっぷりの危険な作品。