『ケンドー・カシン』

ケンドー・カシン [DVD]

ケンドー・カシン [DVD]

ケンドー・カシン石澤常光/ケンドー・カ・シン)は、新日本プロレスで活躍後、全日本に移籍し、今は(おそらく)フリーで活動している日本人プロレスラーであり、俺の最も好きな日本人プロレスラーである。
アマレスベースの確固たる技術を持ち、器用に戦うことも出来るはずの選手なのに、戦い方は実に意固地である。状況に応じた戦いをするというよりは、どんな状況からでも自分の得意な技に入るという戦い方。カチ上げ式のエルボースマッシュにネックブリーカードロップ、ローリングクレイドル、雪崩式を含めた様々な入り方の腕ひしき逆十字(芸術!)、膝十字、キャメルクラッチ、KVニーロック――これが昔も今もカシンの使う技の大半のレパートリーである。あと、ここ数年はカシン式タランチュラ(めちゃカッコイイ!)を使用している。投げ技はほとんど使わず、たまにブレーンバスターやボディスラムを使う程度。ボム系の投げ技など俺は多分見たことないな。ジュラルミンケースを初めとした凶器攻撃や金的といったラフファイトを好み、レフェリーを盾に相手の攻撃を防ぐこともしばしば。よく握手を持ちかけるが、ほとんど罠である。
カシンの面白さは、一瞬も見逃せない腕ひしき逆十字をめぐる攻防である。カシンの場合、スタミナはある/ないと諸説入り混じるが、体が小さいこともあり、少なくともあまり打たれ強くない。けれど、バテバテであっても、どんな体勢からでも、腕ひしき逆十字に入ることが出来る。実際、相手が警戒していても、フィニッシュは腕ひしぎ逆十字や、腕ひしぎ逆十字をおとりにした他の関節技(膝十字など)で決めることが多い。
あとは、リング内外での破天荒な言動だろうか。優勝賞金をコソボに募金させたり、いつ辞めても良いんだとガチンコで言ったり、味方に攻撃したり、味方からのタッチを拒否したり、もうめくるめくカシンワールドに一度ハマったら抜けられません。
このDVDは2001年のものであり、この5年間のものは収められていない。しかしそれでも、ファンなら一度は見た方が良い。あっさり負けた試合から、電光石火のビクトル式の腕ひしぎ、足を取って逃げられなくした腕ひしぎ、腕ひしぎをおとりにした膝十字、雪崩式の腕ひしぎ、カシンの超絶コメント集、得意技一覧など、カシンファンには垂涎モノのDVDです。