高木ユーナ『不死身ラヴァーズ』1〜2巻

不死身ラヴァーズ(2) (講談社コミックス)

不死身ラヴァーズ(2) (講談社コミックス)

不死身ラヴァーズ(1) (講談社コミックス) 不死身ラヴァーズ(2) (講談社コミックス)
主人公(甲野じゅん)は中学生の頃に長谷部りのというクラスのマドンナ的存在の女の子に恋をした。そして告白して、彼女に思いが届いたその瞬間……なぜか長谷部りのは忽然と姿を消した。姿が消えるだけでなく、存在そのものがこの世から消失し、長谷部りのを知る人間は主人公だけになった。主人公だけが、恋心と喪失感の狭間で悶絶し、訳のわからないまま傷心の日々を送る。
しかししばらくすると「長谷部りの」が、甲野じゅんの前に再び現れる。顔は同じ系統なのだが、別人である。以前の「長谷部りの」との記憶が連続しているわけでもないから、新しい「長谷部りの」は甲野じゅんのことなど何も知らない。そして「長谷部りの」の性格や境遇も出会うたびに毎回異なる。ある時は同級生、ある時はバイト先の店長、ある時は中学生、ある時は小学生や人妻で……。そして甲野じゅんの思いが届くと、また「長谷部りの」は忽然と消えるのである。
幾度かの出会いと別れを繰り返すうちに、甲野じゅんも「自分と長谷部りのが両思いになれば消えるんだ」ということを理解する。すなわち思いが届かなければ長谷部りのは消えないわけだが、もはや甲野じゅんは細胞レベルで「長谷部りの」に恋をしてしまっており、その都度、新しい「長谷部りの」に全力でぶつかり、思いを届け、また長谷部りのを消失させてしまうのである……。
いわゆる時間SFやループ物語と言われているものの変奏であろうが、これは新しい。
そして面白い。
この後どうオチをつけるつもりなのか全く読めないが、今のところは傑作である。続きが待ち切れない。