PSYCHO-PASS GENESIS 1 (ハヤカワ文庫 JA ヨ 4-6)
- 作者: 吉上亮,サイコパス製作委員会
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/03/06
- メディア: 文庫
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舞台は2080年から2090年ぐらい、厚生省が覇権を握って人々の人生を管理する「理想社会」が出来上がる転換期の話になる。征陸智己は当初、警察庁の刑事として特命捜査対策室として配属され、シビュラにより覇権を握ろうとする厚生省と警察庁の対立、警察庁内部の「旧い世界」を残したい勢力と「新しい世界」に移行したい勢力との対立、その狭間で社会正義を追い求めていく……というアウトラインだろうか。
TVシリーズを観た方は当然ご存知のように、結局警察庁は解体される。また本書でも警察庁による厚生省への抵抗は「最後の足掻き」であることが序盤から何度も示される。さらには、必ずしも警察庁が正義で厚生省が悪だと断定することもできない。正義と悪、その境界線は時代によって変わって然るべきである。
征陸智己はいわば「負け陣営」で「負け戦」をするようなものなのだが、自身が親爺と慕う八尋が暴挙の限りを尽くし、さらに混迷の度合いを深めていく。面白い。