野崎まど『バビロン 2 -死-』

バビロン2 ―死― (講談社タイガ)

バビロン2 ―死― (講談社タイガ)

東京地検特捜部の検事が主人公。政治や選挙といった地検らしい事件を追っていく中、一筋縄では行かない陰謀や巨悪の影を踏むことになる、というストーリーライン。

……と、1巻では書いた。しかし陰謀でも巨悪という感じではなくなってきた。あまりネタバレっぽいことはしたくないのだが、個人的には巨悪というのではなく、ただただ「邪悪」という言葉を送りたい。傑出した才能ある個人の悪。全貌は全く見えないのだが、今のところ、二人の巨大な悪がいる。一人の悪は、自分が悪を為しているという感覚は持っておらず、ただただ理想を追求しているだけのように見える。しかしアンチヒーローというのでもない。そしてもう一人の悪は、こちらは自分が悪であることを十分に理解して、そして主人公への挑発・挑戦を続ける。特に後者の悪は、もう徹底的に邪悪である。正直震え上がってしまった。

一点注意喚起。何とも言えない凄惨な描写が出てくるので、これまでの野崎まどファンは戸惑うのではないかな。わたしも戸惑ったが、ページをめくる手が止まらなくなった。凄い感情の揺さぶりだ……。