- 作者: 野崎まど,森井しづき
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2009/12/16
- メディア: 文庫
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芸大生で役者の主人公(男)が、方々で「天才」と称される芸大生(女)の自主制作映画に参加することになる……というプロローグ。要は天才を描いた(描こうとした)作品である。
テーマとしてやりがいがあるのか、天才を描いた作品は意外にも多い。しかし我々のほとんどは天才ではないため、天才の「天才らしさ」を描写するのは難しく、本当に天才の「天才らしさ」を描き切った作品というのは、そう多くはないだろう。パッと思いついたのは、『すべてがFになる』に代表される森博嗣のS&Mシリーズの「真賀田四季」という登場人物。次に、機本伸司の一連のSF小説に出てくる「穂瑞沙羅華」という登場人物。さらには、本書と同じく野崎まどの作品『know』の「道終・知ル」という登場人物。森博嗣は天才のミステリアスな魅力を描いた。機本伸司は天才の苦悩を描いた。そして野崎まどは、天才の超越性を描いている。本書は(『know』ほどの衝撃ではないものの)デビュー作かつライトノベルでありながら、天才の超越性を描こうとしている意欲作と言って良い。オススメ。incubator.hatenablog.com
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