山田芳裕『へうげもの』24巻

へうげもの(24) (モーニングコミックス)

へうげもの(24) (モーニングコミックス)

どうしても「武」よりも「美」や「数奇」に心惹かれる武将・古田織部(古田左介)が、武と数奇の狭間で自分なりの数奇道を追いかけていく一代記……なのだが、もう舞台は大阪夏の陣。人生のクライマックスである。25巻か26巻で終わる感じかなー。

この作品は少々長くなりすぎたきらいがあるものの、やはり通してみると鬼のような大傑作である。2巻や3巻で本能寺の変が起こり、せいぜい10巻行くか行かないかで千利休(千宗易)が斬首された。それなのに作品世界は24巻まで続いている。よくぞここまで書き切ったという思いが強い。のだが、実際はまだ終わっていない。本当の終わりはもうすぐ、刮目して待ちたい。

小山宙哉『宇宙兄弟』31巻

宇宙兄弟(31) (モーニングコミックス)

宇宙兄弟(31) (モーニングコミックス)

毎回起伏のあるストーリーを作ってくれているのだが、さすがに30巻過ぎともなると、感想の言葉が尽きてくるなあ。面白いのは面白い。が、もう少しスピーディーな展開でも良い気がする。

サンドロビッチ・ヤバ子+MAAM『ダンベル何キロ持てる?』2巻

ダンベル何キロ持てる?(2) (裏少年サンデーコミックス)

ダンベル何キロ持てる?(2) (裏少年サンデーコミックス)

個人的に気に入っていた作品なのだが、2巻が登場。

ダイエットをしたい女の子が筋トレに励む、それをエロい目で眺めるという、よく考えたら変態極まりないアプローチなのだが、まあ開き直ってるから良いか。

2巻も面白いんだが、これ何巻まで続くかなー。このままだと早晩ネタ切れになりそう……。

かねもりあやみ+久住昌之『サチのお寺ごはん』2〜3巻

サチのお寺ごはん 2 (A.L.C. DX)

サチのお寺ごはん 2 (A.L.C. DX)

最近どんどん出版されている「料理漫画」ジャンルのひとつ。

何と精進料理である。

お寺で坊さんが作っている、素材の味を活かした野菜料理。

……今の潮流に思った以上にマッチしているなあ。

たかみち『ゆるゆる』1巻

ゆるゆる(1) (ヤングキングコミックス)

ゆるゆる(1) (ヤングキングコミックス)

たかみちは『りとうのうみ』という作品がもう圧倒的に面白くて、何十回と読み返した。でもこれの何が面白いかと問われると回答はちょっと難しい。要は「雰囲気漫画」なのである。何でもないキャラクターの何でもない日常を切り取った作品。

本作は、『りとうのうみ』の前に描かれた作品だが、個人的には『りとうのうみ』という完成形に辿り着くための経過としか思えなかった。全3巻と長い割には、1巻を読み終えてもストーリー漫画としての面白さが全く出て来ないんだよね。2巻と3巻を買うかどうかは今のところ迷い中。

吉田貴司『やれたかも委員会』1巻

やれたかも委員会 1巻

やれたかも委員会 1巻

最近Webで人気を博しており、気になっていた作品。

アウトラインは単純で、毎回いろんな男が登場して過去を回想する。男の目線の甘酸っぱい思い出である。そしてそのエピソードを聞いた3名が「やれた」か「やれたとはいえない」かを判定する……という設定である。ちなみに、確実にイロモノ的な男2人は確実に「やれた」と判定し、冷静に物事を見ていそうな女1人が必ず「やれたとはいえない」と判定する。ここがオチというか何というか。

てかこれ、深夜番組で、お笑い芸人やバラエティ担当アイドルが茶々を入れる形で、普通に人気を博しそうなフォーマットだな。わたしなら、収録後その女の子にADが会いに行って当時の心境を聞く、というところまでをコンテンツのセットにしたい。テレビだったら、そういう身も蓋もないオチがあった方が絶対に面白いね。(なお、スペシャル回なら本人が行っても良いが、毎回だと濃すぎる気がするので、やはりADぐらいが丁度良い。)

根田啓史+堀越耕平『僕のヒーローアカデミア すまっしゅ!!』3巻

僕のヒーローアカデミア すまっしゅ!! 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

僕のヒーローアカデミア すまっしゅ!! 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

『僕のヒーローアカデミア』のスピンオフ作品。

そこそこ面白いんだけど、毒にも薬にもならないというかね。正直『ヴィジランテ』を読んでしまうと、このコンセプトではお茶を濁しているだけにしか見えない。

堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』14巻

僕のヒーローアカデミア 14 (ジャンプコミックスDIGITAL)

僕のヒーローアカデミア 14 (ジャンプコミックスDIGITAL)

出久と爆豪の因縁に、一定の決着がついたと言って良いのかな。

決着というか、次のステージに進んだというか。

この二人の歪な関係は完全にバランスを崩していて、正直ちょっと「見苦しい」とすら感じていたので、これはアリ。

tugeneko『上野さんは不器用』1〜2巻

後輩男子のことが好きな先輩女子(上野さん)と、そのことに全く気づかない後輩男子、上野さんの気持ちを知ってフォローする後輩女子、という3人でのやり取り。

上野さんは当然、後輩男子にアプローチをかけていくわけだが、その方法が何と「発明」である。食べられるパンツだの、自分の身につけていた衣類を後輩男子に嗅がせるなど、わりにストレートなセクハラないし好意の押し売りアプローチをやっているわけだが、後輩男子はそれでも全く頑として気づかない……というそこが笑いなわけです、ええ。

面白いから3巻も早く出ないかなー。

南勝久『ザ・ファブル』10巻

ザ・ファブル(10) (ヤングマガジンコミックス)

ザ・ファブル(10) (ヤングマガジンコミックス)

伝説の殺し屋が大阪に「一般人として潜伏する」という、かなりひねりの利いた日常系漫画。主人公は至って真面目なのだが、これまで殺し屋稼業しかやったことがないこともあって、主人公の言動はどこかズレている。そのことで微妙な含み笑いが読者に生まれるのと、作品世界ではやはり微妙なトラブルに巻き込まれていく……というアウトライン。まあ「一般人として潜伏する」と言っても、潜伏先はヤクザの所有する家だから、そういう不穏な物事を引きつけてしまう、というのは実際あるだろうなあ。

山田胡瓜『AIの遺電子』6巻

AIの遺電子 6 (少年チャンピオン・コミックス)

AIの遺電子 6 (少年チャンピオン・コミックス)

ヒューマノイドが実用化され人間と同じように生きる近未来における、人工知能の専門医を主人公としたSF医療オムニバス物語。本作においては、人間、人間と同じような心と権利を有して生きているヒューマノイド、人間やヒューマノイドに仕えるロボット、ヒューマノイドやロボットを生み出した超高度AI、という4つの知的存在がいる、という前提で、一話完結式の物語が大量生産されている。

しかしこのペースは凄い。一話完結を止めて、もっとじっくり描いた方が、作者もネタに困らず済むような気がするんだが。

福本伸行+萩原天晴+橋本智広+三好智樹『中間管理録トネガワ』1〜5巻

『賭博黙示録カイジ』『賭博破戒録カイジ』『賭博堕天録カイジ』『賭博堕天録カイジ 和也編』『賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編』と続いているカイジシリーズのスピンオフ。利根川は最初の『賭博黙示録カイジ』に出て来る中ボスなのだが、やはり『賭博黙示録カイジ』における限定ジャンケンが衝撃的だったこともあって、この中ボスもけっこう人気がある。

人気があるんだが、まさかスピンオフで、コメディーをやるとは思わなかったなー。

めっちゃ笑えます。

冬目景『空電ノイズの姫君』1巻

空電ノイズの姫君 (1) (バーズコミックス)

空電ノイズの姫君 (1) (バーズコミックス)

昔から「雰囲気漫画」を描かせたら天下一品……だと思っていた冬目景による最新刊。とはいえ実は、ごく初期を除いて冬目景の作品はちゃんと読んでない。『ZERO』や『羊のうた』は読んだのだが、『イエスタデイをうたって』が長すぎて途中で読まなくなったんだよな。

今回久しぶりに読んだら、あのデッサンめいた叙情性のある絵柄は健在だが、お話は思ったより「雰囲気漫画」ではなく普通に作り込んでいた。

大童澄瞳『映像研には手を出すな!』1巻

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)

セリフの吹き出しを3Dで表現するなど、「漫画表現」に自覚的かつ挑戦的な描き手だなというのが第一印象。一度そう思ってしまうと、何気ない表情やデッサンにも凄みを感じてしまうから不思議だ。

青春漫画としてもフツーに傑作なので、2巻が楽しみ。